北麓草水

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みんなの習慣

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大森健司さん まゆみさん

vol.15 大森健司さん まゆみさん KnotsHouse (ノッツハウス)オーナー

KnotsHouseオーナー

長年東京を拠点に、世界を飛び周るお仕事をされていらした大森さんご夫婦です。自然豊かな開田高原にお住まいを移されコテージを経営されるようになりました。自然の中の暮らしについてお二人にお話しを伺いました。

日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

健司さん
太陽が昇る時間に起きるようになりました。冬は6時頃でまだ暗いのですが、 夏は5時頃に起きますね。朝起きると表に出て、外の空気を吸います。その時に小鳥や生き物の様子を感じて挨拶をしています。バートホイッスルを鳴らすと応えてくれますよ。
北麓草水
冬でもされるのですか?
健司さん
そうですよ。空気が冷たいと気持ちがひきしまって、気持ちがいいのです。冷たい空気は美味しいですよ。空気も水も冷たいほうが美味しいでしょう。
北麓草水
大森さんご夫婦が暮らす長野県にある開田高原は標高1200mで、夏は日本中で最低気温を記録するような所です。取材に伺った11月の終わりの夜の気温はマイナス3度でした。

太陽と共に起床する生活をされるようになって、何か良い変化はありますか?

健司さん
自然に囲まれての生活で、自分たちがこの自然の中に居させてもらっている。と感じるようになりました。こちらでは、自分から出ていかなければ人と会うことはありません。一人の時間も長いのですが、少しも寂しくは感じません。その時間は内面的にも自由で解き放たれていて、自分が自分でいられると感じます。精神的にとてもリラックスしていて、今までに気がつかなかったことに目が向くようになりました。
北麓草水
どのようなことに目が向くようになったのですか?
健司さん
(窓から見える、葉が全て落ちた枝を見ながら。)今は枯れ枝になっているけれど、これが春になると一斉に芽をふくのですよ。それはものすごいエネルギーだね。冬が厳しければ厳しいほど、春の訪れを待ちわびて生命力が一気に爆発するようです。今この枝は枯れているように見えるけど、よく見ると次の春の芽をもう出している。固く閉じているけど、次の春の準備をしてから厳しい冬をむかえるのです。観察すると冬の植物は、厳しい冬を生きて生命を繋げる為に様々な工夫をしています。
まゆみさん
健司さんが今割っている薪は、今年の冬に使う薪ではなくて来年の冬に使う薪なのよ。一年乾燥させてよく燃えるようにして使うのよね。
北麓草水
人も自然と同じで、厳しい自然の中では次に備えることが大切なのですね。
まゆみさん
ここでは、生きるため、生活するためにすることが、山ほどあるの。薪割り、草刈り、はもちろん、自分たちが暮らす集落を美しく維持していくために、みんなが協力して働きます。
健司さん
都会では、人も沢山いて情報も多い、交通機関も発達していて直ぐに移動もできる、こちらの生活は人も少なく、狭い世界での生活で情報も少ないのですが、その分すべてが深くなるのですよ。人間関係も深くなる、毎日同じ繰り返しのように見える生活で、経験、知識も深くなる。それは木が枝葉を伸ばすように、地中に根をはっているのと同じだと思います。人の目には触れないけれど、地中深くにすごく大きな世界が広がっている。都会に住んでいたときは、ニュースで見たで産業廃棄物を地中に埋めるということも致し方ないのではと深い考えなしに思っていましたが、自然の中で暮らしていると、それはとてもいけないことだと肌で感じるようになりました。地中には地上以上に豊かな世界があって、生き物も暮らしているのだから。ここは、御嶽山の麓で活火山の御嶽山のマグマが動くのを感じるのです。今「ボン」って地面が揺れたでしょう?地球が生きているのを感じるよね。そんな地中に危険なものを埋めて、自然を思うようにできると考えることの代償は大きいと思う。
まゆみさん
人も同じで、ここにはいろんな博士がいるのよ。野菜の育て方や性質にとっても詳しい農家の人たちや、鳥のカッコウの初鳴きを何十年間も記録しているカッコウ博士。蝶博士もいるわね。いろいろなことを話して、教え合ってとても豊かだと思います。
  • 健司さん、まゆみさん イメージ
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その他に大切にされていることはありますか?

健司さん
まゆみさん
人に伝える。ということを大切にしています。
健司さん
自然のサイクルの中で自分たちが生きている時間はほんの短い時間で、この受け継いだ自然を大切にして次の世代に伝えたいですね。厳しい自然の中でも、人が何世代にも渡って住み続けた土地には、生活の歴史や人情など目には見えない魅力がある。この村里の環境といっしょに伝えていきたいですね。
まゆみさん
この土地にコテージを作って、今までに縁のなかった人たちにも来てもらえるようになりました。その人たちが、この場所で過ごすことで、ここを好きになってくれて、ここを古里のように感じてくれたら、その人ともご縁が出来たことになりますね。小さな子供たちは自然に囲まれた環境で、本当に楽しそうに過ごしてくれます。それを見ているご両親や祖父母さまが、自然の中で過ごす愉しさをお子さんに伝えて下さっている。何か大切なものを伝える場所になれたら、こんなに嬉しいことはありません。
まゆみさん
ノッツでお出しする食事では、何が旬のものなのかをお伝えするようにしています。春は木の芽、山菜、ヨモギなどの薬草、夏はトマト、なす、ししとうなどの野菜、秋はキノコ、冬は蕪、白菜。その後は干したり漬けたりして保存食にした野菜や漬物、夏の間に採れた常備野菜を保存したものなどを使って料理します。村の人たちが、この土地で丹精こめて作った野菜を調理して美味しく食べていただくことで、村の人たちの気持ちも伝えることになると思っています。

植物も人も厳しい自然の中で生きることで、力強さや知恵を身に付けて生きていること。与えられた自然の中で生きる喜び。沢山の感銘を受けるお話を聞かせていただきました。コテージの名前ノッツは、結び目という意味があり、大森さんご夫婦の気持ちが込められています。これからも沢山の出逢いと繋がりを作って行かれることでしょう。ありがとうございました。

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