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    vol.124

    アーユルヴェーダ・インド料理研究家

    富塚紀子さん

    Garden Kitchen レモンの木 、add Ayuruveda 主宰

    インド綿のワンピースを素敵に着こなしていらっしゃる富塚さんは、長年習っていたインド料理教室の講師として、定年後の新たな道を切り開かれています。昨年にはご自宅で、アーユルヴェーダの考え方を取り入れたインド家庭料理の教室を立ち上げられました。たくさんのスパイスが並ぶ富塚さんのキッチンで、日々の習慣についてお話を伺いました。

    Q,日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

    • 富塚さん

      日々の生活を快適に送れるよう心がけています。快適である状態とは、気持ちよく呼吸をすること、体に痛みがないこと、美味しく食事をとること、よく眠れること、人が愛しいことなどです。この中のどれかが快適な状態を保てていない時には、アーユルヴェーダを活用しています。生活や心身を整えるために私が取り入れているのは、アーユルヴェーダのディナチャルヤです。

      北麓草水

      アーユルヴェーダのディナチャルヤという言葉が出てきましたが、ディナチャルヤとはどのようなことでしょうか。
    • 富塚さん

      ディナチャルヤとは、快適な心身でいるためのアーユルヴェーダの日課のことです。特別なことではなくて、早寝早起き、同じ時間に食事をとる、間食は避ける、次の食事までに消化される分量の食事をとる、体を冷やさない、身綺麗にして外出する、縁起のよいものを身につける、よい香りを嗅ぐことなどです。ごく日常的なことですが、とても大切なことがアーユルヴェーダの古典書には、その根拠と共に記載されています。ディナチャルヤには人生を生きやすくするための知恵がたくさん詰まっていますので、できるだけ実践しようと努めています。

      北麓草水

      富塚さんが習慣にしているディナチャルヤは何ですか。
    • 富塚さん

      これをいうと皆さん驚かれるのですが、朝起きたらまず640ccのお水を飲むことです。はじめはなかなか飲めませんでした。ただ以前、この習慣を1週間怠ったところ、消化力が下がり、お通じにも影響し、改めてその重要性を感じました。その他には毎日のマッサージを欠かさないことです。頭・耳・足裏の3点オイルマッサージで、ほんの2~3分あればできます。この習慣を長年続けることで、老化防止、病気の予防に役立つといわれています。

      北麓草水

      アーユルヴェーダが、心身ともにすこやかに生きるための教えで、富塚さんが毎日実践されている習慣が、その教えに繋がっているということがわかりました。富塚さんはインド料理の先生でもいらっしゃいますが、アーユルヴェーダとどのように繋がっているのでしょうか。
    • 富塚さん

      アーユルヴェーダがインド発祥ということもあり、アーユルヴェーダの治療には、インド料理に使われているスパイスやハーブが欠かせないですね。そしてアーユルヴェーダでは「食」をとても重要な位置づけにしています。人は「食」無しには生きられませんし、「食」の摂り方で体が変わるということも知っています。インド料理を習得するにつれ、インド食の根底に脈々と流れるアーユルヴェーダの考え方と習慣に関心が強まりました。インドの方が料理をする際に「アーユルヴェーダではね」とはいいませんが、調理法や使うスパイス、食材、食べ方などに、アーユルヴェーダの考え方が生かされていて驚きます。

      北麓草水

      アーユルヴェーダの食事法で一番大切なことはなんでしょうか。
    • 富塚さん

      その人が消化しやすい食事であることでしょうか。人が食べたものを栄養として体全体に行き渡らせることは、そんなに容易いことではないようです。アーユルヴェーダの食事法は、つくり方や食べ方で栄養を摂りやすいようにする知恵を授けてくれます。

      北麓草水

      食べたものの栄養をスムーズに吸収することを大切にしているということですね。教室では実際に、その方法を紹介されているのですか?
    • 富塚さん

      はい、アーユルヴェーダでは自然のリズムに沿って生活することを大切にしています。その考え方を生かして、旬の食材を使ったインド料理、アーユルヴェーダ料理を提案しています。レシピだけでなくスパイスの使い方や知識もお伝えしていますので、習われた方が生活の中に取り入れて、セルフケアができるようになってもらえたら嬉しいです。

    Q,その他に大切にしていること、習慣にしていることはありますか?

    • 富塚さん

      何事も楽しもうと思っています。私はとてもそそっかしい性格で、笑い事では済まされないような失敗談がたくさんあります。しかし、人生経験を重ねるなかで、人との出会いに恵まれ、今見えていることは物事の一面でしかなく、変化の過程であると思えるようになりました。そのように自分の状況を俯瞰的、客観的に見ることができると、心に余裕が生まれ、失敗も前向きに捉えられるようになりました。

      北麓草水

      その気づきや経験をしっかりとご自身のものにされたのですね。その時々の失敗にだけ目を向けるのではなく、その先の目的へと、より前向きに物事に取り組むことができますね。
    • 富塚さん

      いかなる時も前向きに楽しもうという考え方は、長年の積み重ねのなかで習慣となりました。また、自分をとことんまで追い込まないように心がけています。庭の植物にふれたり、好きな香りを嗅いだりすることで、意識的に気持ちの切り替えをします。そして、毎日の習慣であるディナチャルヤも、防波堤のように体と心を守ってくれているように感じています。環境の変化、加齢など抗えないものによるストレスを感じるときに役立つのが、このセルフケア、セルフコントロールですね。

    スパイスの魅力に惹かれてインド料理を学ぶなかで、アーユルヴェーダの資格を取得された富塚さん。その考え方はすこやかな心身で日々を送る知恵と習慣を授けてくれたようです。そして、その奥深い世界へと導かれるきっかけとなったスパイスは、生活の一部となり、欠かせないものとして富塚さんの日常に寄り添っています。インタビューの後には、チキンカレー、ほうれん草のバジ、カリフラワーのマサラ炒めなど、インド料理の美味しい昼食をご馳走になりました。カラフルな野菜、様々な味や香りを醸すスパイスが効いたお料理の数々です。どれもやさしく奥深い味わいで、彩りを盛り合わせたようなプレートに、富塚さんの豊かな人生を感じました。ありがとうございました。(2023年3月28日公開)