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    vol.32

    Dajaディレクター

    板倉直子さん

    セレクトショップ「ダジャ」の
    企画仕入れ、販売まで手掛ける

    島根県松江市にあるセレクトショップDajaの創業当時からのスタッフであり現在は企画仕入れから販売までお店の全てを担う板倉さん。トラディショナルをベースに自分らしい着こなしの提案をされています。一点一点考え抜かれた品揃えと新鮮なディスプレイで楽しさと安心感を与えてくれるお店です。お洋服のプロである板倉さんに年齢を重ねたからこその装いの楽しみ、大切にしていることについてお話を伺いました。

    日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

    • 板倉さん

      日々意識していることは、姿勢を良くすることです。体が疲れていると、気付かぬ間に肩が内側に入ってしまっています。そうすると背中が丸くなり、お腹が前に出てしまい骨盤が広がり、O脚になってしまうというように体全体のバランスが崩れてしまいます。そうならないように胸を開いて肩を下げて、頭頂から一本の糸で吊るされているように意識をして姿勢を整えます。そうすると、呼吸が深くなり声にも自然と張りが出ます。姿勢を意識して背を反り過ぎると腰を痛めるので注意してください。まっすぐ寝ている時の姿勢が良いと教わりました。お店に新しいスタッフが入ると、まず正しい姿勢を覚えて身につけてもらいます。スタッフ同士でもお互いの立ち姿は常にチェックをし合っているようですよ。

      北麓草水

      スタッフの皆さんの姿勢が良く、ハツラツとしているとお店全体が明るく感じられますね。
    • 板倉さん

      お店作りは商品の品揃えはもちろんのこと、ディスプレイ、掃除、音楽、香り、そして最後の仕上げに接客、お客様との会話があってそこではじめて並んでいる洋服が輝くと思うのです。お店に楽しむために来てくださるお客様に対して、背中が丸まっていて小さな暗い声では大変失礼だと思います。

      北麓草水

      一日中お店に良い姿勢で立ち続けるには体力が必要だと思うのですが、体力作りのために何かされていますか?
    • 板倉さん

      良い姿勢も続けていると自然と腹筋が鍛えられて、姿勢を保つことが楽になってきますよ。素敵な着こなしは良い姿勢からですね。姿勢が良ければ何を着ても素敵です。

    その他に大切にされていることはありますか?

    • 板倉さん

      主食には玄米をいただいています。実家が中国山地の山間の奥出雲町で、そこで作られている仁多米を食べています。玄米ですと保存が効きますし、ミニ精米機を買って料理に合わせて五分つき、白米などに精米しています。お米は精米すると酸化がはじまるので、いつでも研ぎ立てをいただくようにしています。精米して出た糠は、足の角質落としに利用しています。小さな容器に糠を入れて少量の水を加えペースト状にして使います。肌がツルツルになりますよ。

      北麓草水

      地元でとれたおいしいお米をいただいて、米糠を肌に使って、内側と外側からのスキンケアで一石二鳥ですね。食生活でその他に心がけていらっしゃることは何かありますか?
    • 板倉さん

      疲れたと感じた日には、鶏胸肉を料理していただくようにしています。鶏胸肉は筋肉を動かすところなので、疲れを取ってくれる成分が多く含まれているそうです。パサパサした印象があるようですが、美味しくいただけるように調理法をいろいろと考えて作っています。それから出張などで野菜不足になりがちなので、ミニトマトなどの野菜をおやつがわり食べるようにしています。また、調味料は原材料や作り方が信頼のできるものを買うようにしています。

      北麓草水

      板倉さんが松江で一番のお気に入りの場所だという小泉八雲旧居(ヘルン旧居)に案内してくださいました。松江は江戸時代の武家屋敷や国宝に指定された松江城とそのまわりのお堀などが現存し、ゆったりとした風情が残る街です。
    • 板倉さん

      この家は江戸時代に建てられた武家屋敷です。公開されて入ることのできる部分はコンパクトで簡素で、ここに来るととっても落ち着くのです。この真ん中の間に座ると三方のそれぞれの景色のある庭を見ることができるのですよ。休みの日などにここで一人落ち着いて考え事をしたりして、静かな時間を過ごします。この家は江戸時代に作られたものですが、古さを全く感じません。いつ来ても落ち着きますし、来る度に新鮮に感じます。庭も常に手をかけられていつ見ても本当に美しいのです。私の考えるトラディショナルというのは、この家のように時を経てもなお新鮮で、輝きを失わないということなのです。単に古いものが好き、古くからあるから良いというのとは違うのです。

      北麓草水

      お洋服のプロである板倉さんに装いについてお聞きしたいと思います。モノや洋服とのつきあい方について教えていただけますか?
    • 板倉さん

      トラディショナルで上質なものが20代の頃から大好きでした。どうしてなのかと考えてみると、古い時代の映画が大好きで、一本の映画を見る時はストーリーを追って見る、ファッションやインテリア、日常の着こなしなど細部を見る、など何回も繰り返し見ていました。その中には現代にない、品の良さ、奥ゆかしさ、幸福感などを感じていました。それから仕事を通して知り合った年上の男性の着こなしに憧れお手本にしていました。そのような中から自分の今のスタイルが出来てきたのだと思います。服でもモノでも選ぶ時には本気で考え抜いて選びます。自分が働いて得たお金を使うのですから、お金は自分の時間、人生と同じです。Tシャツを買うのでも必ず試着をします。着てみれば素材感、シルエット、着心地、細部まで自分に似合うのかが一瞬でわかります。服を買う時には男性が服を選ぶように、この季節には何が必要か、組み合わせをよく考えて足りないところを埋めていくように買い足していきます。女性の感性で選ぶ楽しさも大切にしていますが、基本の考え方があるとちぐはぐな感じになりません。

      北麓草水

      今日の装いもとても素敵でいらっしゃいますが、年齢を重ねたからこその装いについてお話いただけますか?
    • 板倉さん

      20代で初めて行ったパリで、若い女性より50代から70代のお年を重ねたマダムの格好良さ、美しさに衝撃を受けました。美しさとは「若さ」ではなく「テクニック」なのだとその時に知り、それ以来格好良さ、美しさの探求を続けています。映画や写真集を繰り返し見ては、どうしてこんなに素敵なのかの理由を探し続けています。このキャサリン・ヘップバーンの写真集は、こんなにボロボロになるまで今でも繰り返し見ています。今日のこのシャツは、イタリアリネンのシャツで涼しく素晴らしい着心地と、洗いざらしでも良い感じのシャリ感があって最近のお気に入りです。腕まくりをして颯爽と年を重ねた方にこそ着こなしてほしいアイテムです。アクセサリーや装いが過剰になってしまうと、人よりもモノに目や意識が向いてしまいます。自分でも本当に気持ちよく好きなものを着ていると、何を着ているかは全く気にならなくなり、仕事に集中できるのです。年を重ねた今は着心地の良いものが一番だと考えています。でもおしゃれでないと楽しくないので、手をかけていないようでもきれいに見えることを心がけています。アクセサリーは最後に鏡を見てから必要ならひとつ付けます。女性らしさを控えめにしたほうが、より女性らしさが引き立つように思います。何事も調和、バランスが大切ですね。

      北麓草水

      シンプルでオーソドックスなものを選びながら新鮮な着こなしをして楽しむコツがあれば教えていただけますか?
    • 板倉さん

      若さを手放し、年齢にしばられずにどう自由に楽しむかが大切だと思います。着こなし組み合わせは無限大ですから、私もいつも同じ組み合わせにならないようにあえて毎回違う組み合わせ、着こなしにチャレンジしています。お店でお買い物をされる時などに、お店の人のアドバイスで今まで試したことのないラインのパンツを試着したりして、チャレンジもしていただきたいと思います。ご自身のスタイルを持ちながら柔軟な気持ちを持ち続けていただくと、新しい発見や楽しみがあると思います。

    今年で25周年を迎えたDajaは、「手を抜かずに不器用なりに丁寧に仕事をしてきました。」と語る板倉さんそのもののようなお店でした。商品を売るだけでなく、商品を長く愛用していただくための様々な提案など長年のお付き合いをされるお客様が多いのも信頼の証です。すべての女性の関心事であるおしゃれについて様々なことを惜しげも無く教えてくださり、本当にありがとうございました。北麓草水も長年お客様に愛していただける店、ブランドになれるよう教えていただいたことを生かしたいと思います。