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    vol.116

    浮彫社・鎌倉彫作家

    森本勒弥さん・森本美保子さん

    鎌倉彫の工房と併設するGallery&Shop椿の庭を夫婦で営む

    鎌倉市で鎌倉彫の工房とギャラリーを家族で営んでいらっしゃるお二人。伝統的な鎌倉彫と、今の暮らしに寄り添い彩を加えるような作品を、勒弥さん、美保子さんそれぞれが作家として制作されています。お二人の作品は鎌倉彫の世界に新しい風をふかせ、様々な賞を受賞されています。緑に囲まれた工房とギャラリーに隣接するご自宅で、お二人にお話を伺いました。

    Q,勒弥さんが日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか。

    • 勒弥さん

      毎週、主に週末の夜に、市営のスポーツジムに通って、1時間30分から2時間ほど、筋トレと有酸素運動を行なっています。始めて1ヶ月でお腹周りが引き締まって、効果を実感できたのでずっと続けています。

      北麓草水

      筋トレを始めるようになったきっかけがあれば、教えていただけますか?
    • 勒弥さん

      若い頃はずっとサッカーをしていて、元々体を動かすことが好きでした。こどもたちが幼かった頃は、週末家族で海や山に出かけてキャンプ、カヌーや釣りを楽しみ、息子たちのラグビークラブでは、保護者同士の交流もありました。こどもと一緒に活動することで、意識せずとも体も気持ちも活発に動いていたのですね。末っ子が高校生になってからは手が離れ、それぞれが自分で活動をするようになり、仕事中は工房で1日中すわって木を彫っているので、気がつくと運動不足になっていました。そんな時、こどものラグビークラブで一緒だったお父さん仲間に、市営のスポーツジムに誘われたことがきっかけです。その仲間とは、たまに集まってアウトドアを楽しむようにもなりました。

      北麓草水

      仲間との交流や情報交換は大切ですね。

    Q,美保子さんが日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

    • 美保子さん

      手を動かし何かをつくることが習慣かもしれません。鎌倉彫は生業なので毎日取り組んでいますが、それだけではなく自分でつくれるものを増やしていきたいという想いから、色々な素材、方法にチャレンジしてみたいと考えています。

      北麓草水

      工房には、彫金のスペースもありますね。
    • 美保子さん

      彫金は自分の作品に取り入れたいと思い、習い始めました。鎌倉彫のアクセサリーをつくっているので、オリジナルの金具や、木彫と金属を組み合わせた作品に生かしています。 また、金属に漆を塗る技法もあり、始めた当初は思いつかなかった広がりも生まれました。

      北麓草水

      リビングには竹籠や竹ひごがありますが、竹細工もされるのですか?
    • 美保子さん

      地域の竹林を手入れし、竹資源を生かして、自分で編んだ竹籠を暮らしにとり入れようという活動をしている「鎌倉竹部」に入って竹細工を教えてもらっています。(https://www.facebook.com/鎌倉竹部-240881724522016/)竹細工は自分の仕事に生かすというのではなく、面白そうなのではじめました。本業の鎌倉彫の制作と趣味との垣根をあまり意識しておらず、自分のできること、能力を広げ少しでも上達したいという想いで取り組んでいます。ひとつを極め続けなくとも経験や自分の中の要素を増やすことで、自分を向上させられるのではないかという想いがあります。そして経験や技術は自分の中に残るので、いつかそれらの要素が組み合わされて、新しい表現が生まれるかもしれないと思っています。

      北麓草水

      それは素晴らしいですね。お料理や針仕事もマメにしていらっしゃるようですね。
    • 美保子さん

      子育てをしながらその時々にできることをやってきたことが、ずっと続いているような気がします。ここ鎌倉は環境にも恵まれ、季節ごとに新鮮な食材が手に入るので、自然に料理もそれを生かしてつくるようになりました。今の季節だと、梅シロップや果物のシロップ、小鰯でオイルサーディンもよくつくります。

      北麓草水

      土地柄もあって、お魚はよく食卓に並ぶのですか?
    • 勒弥さん・美保子さん

      海が近いので、魚屋さんには地魚が並びますし、漁港に行って魚を買うこともできます。たまに友人やこどもと釣りに行くこともあります。我が家の三男は魚が大好きで、学校の帰りに魚屋に寄って、いい魚があると買ってきて自分でさばくのです。料理好きというのではなく、魚が好きで大きな魚から、うつぼ、小魚まで、どんな魚でもさばきます。そのお陰もあって、新鮮な魚が毎日のように食卓に並びますね。今日は、どんな魚を見つけてくるかとても楽しみです。毎日の食事は大切なので、毎回美味しく楽しく食べたいですね。

      北麓草水

      今後お二人の作品が見られる機会があれば、教えていただけますか?
    • 勒弥さん・美保子さん

      8月5日(金)~11日(木)横浜で開催される
      「5000or10000yen Art」展 アートコネクトヨコハマに出品します。
      https://www.facebook.com/ArtConnectYokohama)
    • 美保子さん

      「関東ブロック伝統工芸品展2022」11月5日(土)・6日(日)東京国際フォーラムロビーギャラリーに出品します。
    • 勒弥さん

      来年の冬に開催される日本漆工協会主催の「漆の美」展に出品する作品にとりくんでいます。
      また、Gallery&Shop椿の庭は、毎週日曜日にオープンしています。自宅に隣接しているので、ご連絡をいただけば随時対応いたします。また、鎌倉彫体験をしていただくこともできますので、近くにいらっしゃることがあれば、お立ち寄りください。

    自然に囲まれた暮らしと仕事がひと続きになって、人の繋がりや生み出すものが循環をしているような、自然の大きな繋がりの中で生きていることを感じられるお二人の暮らしぶりでした。取材で訪れた日は、勒弥さんが庭でとってきた蕗(フキ)で煮物を、新鮮なアジをおろしてナメロウをつくってご馳走してくださいました。木を彫って、漆を幾重にも塗り重ねた漆器のしっとりとした美しさ、手触りの優しさと軽さも体感し、漆器の持つ魅力も再認識させていただきました。日本古来の伝統工芸である漆器製品をもっと暮らしに取り入れてみたいと思います。ありがとうございました。(2022年7月15日公開)