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    vol.129

    ノリプロ株式会社

    山川明訓さん・山川恵梨奈さん

    ウェブ・映像制作・デザイン、イラストレーター

    今回お話を伺ったのは、北麓草水のウェブサイトを構築してくださっている山川明訓さんと、イラストレーターの恵梨奈さんご夫妻です。徳島県唯一の村・佐那河内村(さなごうちそん)の古民家で、ともにクリエイティブな仕事をされています。一昨年に家族となったおふたりの習慣、大切にされていること、新しい暮らしへの向き合い方をお話しいただきました。

    Q.日々暮らすなかで習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

    • 恵梨奈さん

      家の窓を開けて風を通すことです。風を通さないと空気がよどむような気がします。自宅が山の斜面にあって、風がよく吹き抜けます。私たちは在宅で仕事をしているので、仕事部屋の窓を開けるのもしょっちゅうです。冬でも開けますよ。
    • 明訓さん

      僕は寒がりだから苦手だけれど。
    • 恵梨奈さん

      クリアな空気のほうが、いい仕事ができると思います。私、きっと風が好きなんですね。村に来てからよく散歩をしているのですが、どこに行きたいとか、何を見たいとかいうよりも、ただただ風を感じたくて歩くこともあります。
    • 明訓さん

      僕が大切にしているのは、今ある環境でいかに気持ちよく過ごすか、それを考えて実践することです。我が家は古民家で、少し改修はしていますが、窓を厚手にするとか、まだカスタマイズしたいことがあります。いらないものも出てくるので積極的に処分して。
    • 恵梨奈さん

      私の希望も聞いてくれているね。
    • 明訓さん

      自分の希望をかなえつつ、妻の希望にも応えていたら、部屋のなかがどんどんシンプルになってきました。こうして暮らしを快適にしていくことが、僕にとっては大切で、楽しみでもありますね。
    • 恵梨奈さん

      改修を引き受けてくださった建築家の方は、私もずっとお願いしたいと思っていた方なので、ここに引っ越して来たときはうれしかったです。よい所で自分の新しい暮らしが始まって、とてもありがたいです。

      北麓草水

      恵梨奈さんのお引っ越しはご結婚がきっかけですね。
    • 恵梨奈さん

      私は徳島の生まれ育ちですが、以前から佐那河内村に住みたいと思っていたので、結婚でその夢もかないました。村は自然が豊かです。心を奪われるような声で鳥がさえずっていることもあります。それでいて徳島市内にとても出やすい距離です。

      北麓草水

      明訓さんはどんなきっかけでこちらにお住まいになったのでしょう。
    • 明訓さん

      僕も生まれ育ちは徳島県ですが、キャリアアップのため東京に出ていました。4年ほどの東京での生活は刺激的で楽しく、多くのことを学ばせてもらいましたが、故郷の徳島の自然豊かな環境が自分の人生に必要だと感じることが多くなり、自分の力で、故郷の徳島県で挑戦したいという気持ちに変わっていきました。そして、徳島県のなかでも里山の風景が残っている佐那河内村に移り住みました。佐那河内村で、自宅を事務所にし、仕事に没頭できる環境は、毎朝の出勤や喧騒が苦手な自分にとってちょうどよかったと思います。
    • 恵梨奈さん

      私も騒々しい音が苦手なので、そのあたりをわかり合えるのは助かっています。いまは朝起きて、通勤の代わりに静かな時間をゆっくり過ごして、それから仕事を始める。このゆとりが心地よく、大切にしています。
      (北麓草水:明訓さんと恵梨奈さん、おひとりがお話を終えると、もうおひとりがやさしく言葉を添えてくれる、そんな絶妙なコンビネーションが印象的でした)

    Q.その他に大切にしていること、習慣にしていることはありますか?

    • 恵梨奈さん

      お互いひとりで過ごす時間ですね。
    • 明訓さん

      僕は学生のときからスケートボードを趣味にしています。週1・2回は必ず乗りたい。忙しくて頭が疲れているからこそ、スケートボードに乗って頭にも血をめぐらせて悪いものを抜きたい! という感じです。庭仕事や畑仕事も同じような感覚でしています。あとは散歩に映画。風景やスナップ、動画を撮影している時間は、ひとりでいてもとても充実していますね。
    • 恵梨奈さん

      私がひとりになるのは散歩のときや、喫茶店で過ごしているとき、愛猫たちのお世話をしているときですね。引っ越してきて間もないうちは、村のあちこちを夫に案内してもらっていたのですが、いまはひとりでも出かけます。情報を何も入れずに歩くのがおもしろいんです。猫は最近家族になったのですが、こんなに愛おしいものかと驚いています。
    • 明訓さん

      生まれてすぐ捨てられていた保護猫です。階段にストッパーをつけたりして、徐々にネコハウスになっています。仕事も家でしていて、ふたりで過ごす時間が長いだけに、猫のいる暮らしって、なんだかいいです。
    • 恵梨奈さん

      私はほかにも心がけていることがあって。毎日、どんな小さなことでもいいからチャレンジする、ということなんです。ふだんは選ばないものを食べるとか、なじみではないお店に行くとか。ファッションだったら着たことのない色を着てみたり、ネイルをしてみたり。これまでの自分のキャラクターを崩すというか、幅を広げたいと思っているんです。

      北麓草水

      何かきっかけがあったのでしょうか。
    • 恵梨奈さん

      当初は趣味だったイラストを使ってくださる方がいらして、仕事にすることができたからかもしれません。私の描いたものを「好き」といってくれる人がいたらいいな、増えたらいいな。だとしたら新しいチャレンジをして表現の幅を広げたいって。
    • 明訓さん

      チャレンジをし続けたいのは僕も同じなんです。常に何か目標がほしい。いまの仕事は拠点が徳島県でフィールドは日本全国ですが、いずれは海外にも広げていきたい。ただ、新しいことが増えても、できるだけお互いのペースを崩さないように尊重し合っていきたいです。僕たちはお互いマイペースなんですが、ふたりで暮らすとなると、自分のペースだけを守っているわけにはいかないですよね。補い合ったり、譲り合ったりしてバランスがとれたらいいな、と思っています。一緒の時間もつくりたい。わざわざ旅行しなくてもいい。喫茶店とか散歩とか、自宅で過ごすのとはまた違った時間を共有したいです。
    • 恵梨奈さん

      相手にとって何がNGなのか、まだまだつかみきれていないので、ちょっとずつ調節していく感じですね。きっと、いいこともそうじゃないこともあると思うんですね。でも、両方とも受け入れる努力はしたい。どちらかというと、私のほうが譲ってもらうことが多いけど。
    • 明訓さん

      僕が譲ってばかりだよ。でも、僕からは言えないから、最後に自分から言ってもらえてよかった。

    初めて聞かせていただくお話の数々に、明訓さんにより親しみを持つようになりました。恵梨奈さんは、近々ご友人であるアーティストのCDジャケットをデザインする予定とのこと。「僕もとても楽しみなんです」と、明訓さん。おふたりとも飾ることのないお人柄と感じましたが、きっと飾る必要がないくらい、おふたりでいることが自然なのでしょう。このたびはありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いします。(2024年4月22日公開)