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    vol.61

    料理家

    宮下愛さん

    冬草 主宰

    旬の野菜を使った和食を基本にした料理をつくられている宮下さん。丁寧な仕事とやさしい心配りがされた料理は、まさに五臓六腑にしみわたるおいしさです。現在は長野県でお店を開かれていますが、来年からは食事会やイベント出店など不定期で活動をされるそうです。食べた人の体と心を温かく元気にしてくれる料理をつくる、宮下さんの日々の習慣についてお話を伺いました。

    日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

    • 宮下さん

      一日の体調や気持ちの状態などを毎日記録するようにしています。その日に食べたもの、起きた時間、就寝した時間など手帳に記録しています。

      北麓草水

      日記とは少し違う、食べたものや睡眠時間を客観的に記録するといいうことを始められたのは、何かきっかけや目的があったのでしょうか?
    • 宮下さん

      肌が弱くてアトピー性皮膚炎の症状が強く出た時に、症状が出る前のことを振り返ると、理由のいくつかが見えてくることに気が付いたのがきっかけです。無意識のうちに食べ過ぎていたということや、体によいと思って心がけて食べていたものが、その時の自分の体調には合わなかった、ということがわかりました。気が付かなかった自分の癖や生活パターンへの理解が深まりました。疲れがたまっていると、つい刺激的なものを食べ過ぎてしまったりします。

      北麓草水

      宮下さんでも甘いものやお菓子をつい食べ過ぎてしまうことがあるのですね。
    • 宮下さん

      チョコレートや甘いものは大好きなので、もちろんあります。体が欲しているものを食べると心も体も落ちつくのですが、疲れや無意識にストレスを感じている時は、体が欲している以上に嗜好品を食べてしまうようです。食べたものはそのまま体と心に繋がっているので、自分を客観的に観察して、よい状態を保つために記録することは役に立っています。書くことが好きなので、気負わないで続けています。

      北麓草水

      宮下さんのお料理は素材の味を大切にして、食べやすく素材の食感を生かすように細かく美しく切られています。取材させていただいた日のごはんセットの献立は、人参と生姜の炊き込みごはんのおむすびと、主菜は大豆たんぱくの唐揚げに、長芋、大根、白菜、人参、葱、玉葱、椎茸など季節の野菜の葛あんかけ。副菜は柿と春菊のごま和えで、寒い日に体を温めてくれる昼ごはんでした。食をお仕事にされるようになったきっかけがあれば教えていただけますか?
    • 宮下さん

      社会に出て入った会社では、映画やCMなどの衣装の仕事をしていました。映画製作の現場では、2~3ヶ月ロケが続くこともあり、その間はホテル暮らしで食事はロケ弁当ということも多かったのです。そんな中ある現場で、ケータリングの食事がとても充実していることがありました。スタッフみんなで温かくておいしいものを食べて、雰囲気がとてもよく現場もスムーズに進んだ記憶があります。その経験から、食が人に与える影響の大きさに興味を持つようになりました。その後スタイリストの仕事をやめて、リフレッシュのためにイギリスでホームステイをしました。ホストファミリーとして迎えてくれたのは、一人暮らしのおばあさんです。毎日2人で料理をして、いっしょに食べて、数ヶ月間ゆったりした時間を過ごすなかで、食べることが心を豊かにすることを体験しました。帰国をしたタイミングで父が体調を崩して、食事療法を取り入れることになりました。食の効能を目の当たりにしたことで、奥深さにさらに惹かれるようになり、食の世界に入りました。日本料理店や自然食のレストランで働いた後に、穂高養生園で6年間働きました。(穂高養生園は、体にやさしい食事、ヨガや散歩など適度な運動、心身の深いリラックス、の3つのアプローチにより自然治癒力を高めることを目的とした宿泊施設です。)

    その他に大切にしていること、習慣にしていることは何かありますか?

    • 宮下さん

      眠る前の時間を大切にしています。15時以降は、なるべくコーヒーなどカフェインの多いものは飲まないようにして、眠る前には携帯電話やパソコン、テレビは必要がなければスイッチを入れないようにしています。そうすることで、熟睡ができるようになります。

      北麓草水

      睡眠時間はどのくらいとられるのですか?
    • 宮下さん

      一定の睡眠時間を確保することも大切ですが、睡眠の質が大切だと最近は実感するようになりました。深く眠ることで、眠っている間に自分で自分の体を修復する機能がきちんと働くようになります。自己免疫力を高めることにも繋がりますし、そのために自分にできることは、よい睡眠をとることだと思っています。

      北麓草水

      質の高い睡眠のために他にも実践されていることがあれば、教えていただけますか。
    • 宮下さん

      夜は心を静かに保ち、イライラ、くよくよ考えずにゆったりした気持ちでいるようにしています。入浴後1~2時間後くらいの体温が下がるタイミングで布団に入るようにします。よい睡眠が取れた次の日の朝は、体の調子、肌の状態がよいのを感じます。風邪の引きはじめでは、のどの痛みなどの初期症状がすっかりよくなっていることもあります。

      北麓草水

      北麓草水も食事、睡眠、入浴、運動はすこやかな肌をつくるための新陳代謝を促す為に、とても大切だと考えています。食と睡眠について、意識をして毎日を送ることは大切ですね。お店の名前の「冬草」にはどのような意味が込められているのでしょうか。
    • 宮下さん

      冬草は10月から5月頃まで主に生えている草のことで、冬草が地表を覆っているところは、寒さから畑を守り、土を肥やす働きがあるというお話を、自然農を実践されている方から伺いました。目立たないけれど、大切なものとして心に残りました。自分の料理もそんな風でありたいと思い、名前にしました。ハレのお料理のような華やかさはないけれど、その人が心地よい状態で、日々を過ごすためのお手伝いができたらと思っています。

    ご自分と向き合い体と心を整えてつくられているお料理は、心と体の肥やしになるような味わいでした。控えめな姿の中にある強さとしなやかさが、寒さの中でも緑の葉を拡げる冬草の姿に通じるものだと感じました。これからの活動も「冬草」の名前で続けていかれる予定だそうです。またどこかで宮下さんのお料理をいただけるのを楽しみにしたいと思います。ありがとうございました。