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    vol.60

    有限会社家具のあづま 代表取締役社長 紀州箪笥伝統工芸士(福太郎さん) 製作補助 加工仕上げ担当(ちあきさん)

    東福太郎さん・ちあきさん

    先日開催されたJAPAN TRADITIONAL CRAFTS WEEK(以下JTCW)で、日本の伝統工芸品のよさを生かした商品を一緒につくって下さる産地、職人さんを探していたときに出会ったのが、紀州箪笥伝統工芸士の東福太郎さんです。美しくそして毎日の使用に耐えるせっけん置きをつくって下さった東さんご夫婦に、日々の習慣、大切にしていることについてお話を伺いました。
    *JTCWとは、日本各地の伝統工芸品の紹介や展示販売をするイベントです。

    日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

    • ちあきさん

      睡眠はしっかりとるように心がけています。子どもが3人いるので、以前は子どもたちを寝かしつけてから、仕事やその日にやり残したことをしていましたが、無理は長く続かないと感じて、今では遅い日でも11時には就寝するようにしています。

      北麓草水

      社長であり職人である福太郎さんと一緒に、お仕事をしながら3人のお子様の子育てと、本当にお忙しい毎日ですね。
    • ちあきさん

      仕事を終えて夜家に帰ると、3人がそれぞれ話を聞いて欲しくて、いっせいに話しかけてくるんですよ。そんな時はできるだけ耳と心を傾けて、一人一人の話を聞くようにしています。話をしっかり聞くと安心してくれるように感じます。何か話したそうにしているのに、言葉にできないでいる様子のときは、心のアンテナを立てて子どもたちの気持ちを察することができるようにしていたいと思っています。それから毎日一人一人をぎゅっと抱きしめることを習慣にしています。そうすることで、しっかりあなたを見ているよという気持ちが伝わってくれたらいいなと思っています。

      北麓草水

      聞くことで思いをうけとめて、スキンシップで気持ちを伝えるという方法は、心が温かく満たされますね。その他に何か大切にしていること、習慣にしていることはありますか?
    • ちあきさん

      習慣にしているということではないのですが、主人とのお茶の時間を持つようにしています。家業を営んでいていつも一緒に動いているので、意見が合わないこともあれば、根を詰めて二人で仕事をすることもあります。そんなときの後は夫が「ちょっとお茶でも飲みに行こうか?」と誘ってくれて、二人でカフェに行ってのんびりすることがあります。カフェに行く時間が取れない時は缶コーヒーを買って外に出て休憩をします。職場とは違う場所で、おいしいお茶やコーヒーで心にゆとりを持ってコミュニケーションがとれるのです。意見が合わない案件がある時でも、そうすることで気持ちを落ち着けて話し合うことができるようになり、解決することもあるのです。お茶の時間はとても有意義で大切な時間です。そんな時間を持てた後は、仕事もとてもはかどりますね。

      北麓草水

      素敵なお話です。私たちもお茶の時間を上手に使ってコミュニケーションをとって、お互いのことを理解し合うようにしていきたいと思います。ちあきさんは北麓草水のスキンケアを使っていただいたことがあると伺いました。どんなきっかけで北麓草水を知っていただけたのでしょうか。
    • ちあきさん

      昨年、東京での展示会のために出張に出かけたのですが、化粧水を荷物に入れるのを忘れてしまったのです。私は敏感肌なので、化粧品は必ずサンプルをもらって試してから買うようにしているのです。東京へ着いてKITTE丸の内を見ている時に、自然のよい香りにひかれて北麓草水のお店に出会いました。野草と富士山の伏流水を使っているということで、直感的にこれは自分に合うと感じて購入して使ってみたのが、北麓草水との出会いでした。使い心地、香りがとてもやさしく敏感肌の私の肌にもなじみ気に入って使いました。出張中は不規則な生活をしていたのですが、肌の調子はとてもよく自分でも驚くほどでした。その後も夫が東京に出張に行くことがあると、北麓草水のお店に立ち寄って私にプレゼントを買ってきてくれます。

      北麓草水

      デリケートなちあきさんの肌にも合い、気に入っていただけてとても嬉しいです。きめの細かいきれいな肌でいらっしゃいますが、肌のために何か気をつけていらっしゃることはありますか?
    • ちあきさん

      食事は体調管理の基本なので大切に考えています。食事は夫の母が毎日家族の健康を考えて手づくりしてくれています。母は調理師の資格を持っていて、緑の野菜、根菜、肉、魚、海のもの、山のものとバランスを考えておいしい食事をつくってくれます。子どもたちも育ち盛り、食べ盛りなので、毎日おいしくて栄養と愛情たっぷりの食事をつくってくれている母にとても感謝しています。

      北麓草水

      福太郎さんにもお伺いします。日々習慣にしていること、大切にしていることはありますか?
    • 福太郎さん

      子どもたちと一緒にはじめた剣道を続けています。週に2回仕事の後に稽古に通っています。また少年剣道の指導者の資格を取って、子どもたちに指導をする手伝いをしています。

      北麓草水

      剣道をされるようになって、何か変化はありますか?
    • 福太郎さん

      剣道は武道なので、集中力、精神力がアップしたように思います。仕事においても、難しい問題に向き合った時に挫折してあきらめそうになる心を、グッとくい止めて「もっといかなあかん!」と思うようになりました。仕事をする上でもとてもプラスになっていると思います。

      北麓草水

      お子様が習いはじめたことをきっかけにご自身も剣道をはじめられ、指導者の資格までとられるとは、とても熱心に取り組まれているのですね。
    • 福太郎さん

      親になった時から子どもと対等な目線で、一緒に思いっきり遊ぶことを大切にしています。それでも子育てでは、叱らなくてはいけないこと、親として諭さなければいけないこともあります。子どもたちも成長とともに親への反発心や、言葉にできないイライラを心に抱えることもあると思うのです。そんな時はお互いに剣道の試合を通して、子どもは親に思い切り向かっていけると思うのです。自分でも心に迷いがある時に無心で竹刀をふると、気持ちがすっきりして落ち着きます。また自分の子どもだけではなく、地域の子どもたちが武道を通して礼儀を学んで、精神力を養ってほしいと思っています。指導者が不足していると聞いて、子どもたちの学ぶ場を残したいと思い、資格を取って指導の手伝いをしています。

      北麓草水

      素晴らしいですね。

    その他に大切にしていること、習慣にしていることは何かありますか?

    • 福太郎さん

      お茶(茶道)を続けています。大学を卒業した後に、京都にある伝統工芸士を養成する学校に入って勉強と修行を始めました。おいしいお菓子が食べられるからと、茶道の授業を選んだのがお茶をはじめたきっかけです。桐箪笥はもともと着物を入れるものですから、お茶会は着物を着る機会にもなりますし、日本の文化を勉強することになりますので、その奥深さに魅せられて続けています。その学校で素晴らしい先生と出会うことができて、国宝のお茶室に連れて行っていただき、若いうちにこの世界の一番上というものを見せていただきました。また素晴らしい方々と引き合わせていただき、その体験、経験が自分の中で大きな財産になっています。茶道は三畳のお茶室の中に宇宙がある、とても奥の深い世界です。道具、料理、花、書、お茶と日本文化のすべてがあります。

      北麓草水

      若い修行時代に最高のものと出会ったことが、今の福太郎さんの基礎となっているのですね。JTCWで東さんに桐の石けん置きをつくっていただき、今日は工房でのお仕事の様子も取材をさせていただきました。小さな石けん置きの中に匠の技が生かされて、多くの工程、手作業が幾重にもかけられていることに驚き、頭の下がる思いになりました。北麓草水としてお客様にそのことをお伝えしたいと思います。最後にこれからのお仕事、伝統工芸についてお話を聞かせていただけますか?
    • 福太郎さん

      先人から伝えてもらった技術を、次の人にしっかり伝えるために人を育てなくてはいけないと思っています。人という点がまた次に繋がる人としっかり繋がって線になる。先人から受け継いだものを点である自分がしっかり次の人に伝えて線にして、伝統を未来に繋げることが自分の使命だと思っています。
    • ちあきさん

      軽くて防湿効果、防虫効果、防火性がある桐の素材としてのよさを、若い世代にも広く知ってもらいたいと思っています。そのために桐箪笥のショールームとは別に工房の横に、今年の9月に桐の小物や地元産の布小物、ジャムや紅茶などを扱うショップをオープンしました。洋室にも合うチェストやお茶が飲めるテーブルも置いて、気軽に立ち寄ってもらえる雰囲気にしています。まずは桐のよさを知ってもらい、若い人にもいつかは大切な洋服や着物を収納する桐の箪笥を使ってみたいと思ってもらえるようになればいいな、と思っています。よいものを大切に長く使っていただくことも伝えたいと思っています。

    本業の桐箪笥づくりと、伝統の技を現代の生活に取入れたものづくりも積極的にされて、数々の賞を受賞し多くのプロジェクトにも関わられている福太郎さん。結婚を機に家業の桐について学びはじめ、今では福太郎さんの右腕として一緒にお仕事をされているちあきさん。結婚をして信じることの強さを実感できるようになった、と話して下さいました。お二人は代々受け継がれてきた大切なことを、お仕事でもご家族でも次の世代に伝えていくことをされているのだと感じました。東さんにつくっていただいた桐の石けん置きを使うたびに、お二人を思い出し、温かく清々しい気持ちがよみがえると思います。ありがとうございました。