北麓草水

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みんなの習慣

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かわしまようこさん

かわしまようこさん

作家・アーティスト

都会でも足元にある雑草と呼ばれる植物を通し、人が幸せに心地よく、その人らしく暮らしていくことを思考し続けていらっしゃるかわしまさん。暮らしの中に植物の持つ力を取り入れる提案や、自分自身に向き合う方法を著作やワークショップ、リトリートなどで伝えていらっしゃいます。かわしまさんが定期的にリトリートを開催されている、千葉県いすみ市にあるブラウンズフィールドを訪ねお話を伺いました。

日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

かわしまさん
ご質問への答えには申し訳ないのですが、習慣はもたないようにしています。今その時の気持ちを大切にしたいので、毎日いつ何をすると決まり事はつくらないようにしています。今朝も昨夜は遅くまで寝付けなかったので、ゆっくり時間が許す限り朝寝坊をしました。
北麓草水
食事や食べることに関して何か習慣にしていらっしゃること、決めていることはありますか?
かわしまさん
食事に関しても特に決まりはありません。自然な食べ物であれば野菜、肉、魚なんでもありがたくいただきます。食べる時に気をつけているのは、食べ合わせやバランスです。暑い日に冷たいものが食べたくなったら、それと組み合わせて体を温める作用のあるものを食べるとか、陰陽のバランスを考えて、偏りがないように食べるよう心がけています。
北麓草水
食べ物の組み合わせを具体的に教えていただけますか?
かわしまさん
例えば、冷奴にはネギや生姜などを添えるとか、ご飯やパンなど炭水化物だけに偏らないように、おむすびには漬物や煮豆などを添えいただくなど、ちょっとしたことです。
北麓草水
薬味や付け合わせは、味や箸休めというだけでなく、バランスを取るためにも大切なのですね。かわしまさんはご著書の中で、身近にある雑草を暮らしの中に取り入れる方法を紹介されています。雑草に注目されるようになったきっかけ、またあえて雑草と呼ばれる植物に焦点を当てられている理由をお話しいただけますか。
かわしまさん
幼い頃、私は自然豊かな環境で育ちました。祖母に連れられてお墓参りに山道をいく途中、道端に咲く花を摘みながら歩きました。手折った野の草花を束ねて供えるのですが、その時間がとても好きで、ずっと深く心に残っています。思い返すと人生の節目ではいつも草花に救われ、助けられて生きてきたように思います。そんな自然、草花に恩返しがしたいと思っています。雑草は生命力が強いというイメージがありますが、それはどうしてだと思われますか?
北麓草水
雑草は自然に任せて生え、根を張っているからでしょうか。
かわしまさん
そうですね。雑草は自分が生きたいと思う場所で生きていて、そこに自ら根を張っているからでしょう。そういう草花に触れていると元気が湧いてきます。自分の持っている力が目を覚まして自然体のままでいられるようになります。雑草という言葉には、じゃまな草、役に立たないものとマイナスのイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。一つ一つの姿を見つめて、命の美しさと私たちを助ける力を持っていることに気がついて欲しいと思っています。私たちは、人が暮らしている場所に勝手に生えてくる草を雑草と呼びます。里山に生えていれば、野草と呼ばれたりしますね。雑草に見えて邪魔に感じるかは、私たちの環境のつくり方の問題のように思います。あえて雑草という言葉を使うのは、彼らの素晴らしさを知ることで命によいも悪いもない、みんな同じ、ということに気づいてもらいたいと思っているからです。
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その他に大切にしていること、習慣にしていることは何かありますか?

かわしまさん
自分の周りにある自然を見ることです。見方にはいろいろあると思うのですが、何か変化しているところを感じ、見つけるようにしています。人と向き合う時と同じように、その樹木、草花、自然が今どう感じているのかを感じ取るようにしています。気持ちよさそうに伸び伸びしているかな、水が足りなくて水を欲しがっているかな、と植物の勢いや様子から感じます。自然に目を向けて、自分なりに自然を感じながら生きていると、心と体がやわらかくなって自分の深い部分と繋がっているようになります。その結果として、心地よさを大切にする生き方が美しい風景になり、世界のあり方に繋がっていくといいなと夢見ています。私の叶えたいと思っている夢の一つは、川の水が再び飲めるようにきれいになることです。その夢に少しずつ近づくように、土や水を出来るだけ汚さないように、ゴミをつくらないように心がけて暮らしています。
北麓草水
本当にそうなるとよいですね。長い地球の歴史の中で、ここまで環境破壊、汚染が急激に進んだのは近年のことです。今生きている私たちの責任はとても大きいですね。暮らしの中で具体的にどんなことをされているのか教えていただけますか。
かわしまさん
自然を思いやった暮らしは手間ひまのかかることが多いのも事実です。心身に負担を感じたり、周りの人との意見の違いで折り合いがつけられずストレスを感じたりしないように、できる時にできることをするようにしています。マイバックを持つことが当たり前になったように、多くの人が自然や環境を大切にしたいと思うようになり、行動が変わっていくように、小さなことの積み重ねが大きな変化に繋がっていくのだと思います。命の源となる食事をつくる台所で私が実践していることの一部です。
・詰め替え用を使って、パッケージのゴミを減らすようにしています。
・ラップは使わないようにしていて、保存容器を使ったり、お皿を蓋がわりにして冷蔵庫へ入れるようにしています。ラップを使わなくなって10年以上経ちますが、なくてもなんとかなっています。
・再利用して使い切るようにしています。タオルや衣類の古布は裂いて保管し、油を使った鍋、食器の汚れ、台所の汚れなど拭き取るのに使います。水洗いする前にできるだけ汚れを落として、汚れた水を流さないようにしています。食器は洗剤を使わずに洗うようにしています。
北麓草水
私も暮らしの中でできることを実践したいと思います。4月に新刊が出版されるそうですが、どんな内容なのかお話しいただけますか。
かわしまさん
「ありのまま生きる-雑草が教えてくれた、いのちがよろこぶ生き方-」というタイトルの本で4月下旬に発売になります。26種類の草花を紹介して、それぞれの草から私が学んだこと、草たちが教えてくれた自分らしくありのままでいること、生きる工夫を文章にしています。たんぽぽ、すみれ、よもぎなど都会にいても足元や周りを見渡せば生えているような、草花を取り上げています。身近な草花を摘んで暮らしに取り入れる大切さを伝えたいと思っているので、本を手に取ってくださった方がやってみようかなと思えるような草花の楽しみ方や、お料理のレシピも紹介しています。足元の小さな草花をぜひ摘んでみて下さい。何か感じることがきっとあると思います。

ご自身が草花を見つめ続け、その実体験からの言葉は一つ一つにとても説得力を感じるお話でした。静かに小さく見える取り組みが、それを体験した人の心と生活に深く根を張ることで、少しずつ確実に何かが変わり始めるのかもしれません。雑草の生命力のような力が私たち一人一人の中、そして暮らしの中に宿ることで、自然と人の暮らしが美しく調和し、何世代先にも自然の美しさや恵みが引き継がれるように続いていくことを願わずにはいられません。かわしまさんにお会いした後に、家の周りに咲いていた カラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)の花と葉先を摘んで、サラダに入れてみました。いつものサラダに可愛らしいお花が加わったことで、見て楽しく食べてみても野性的な香りがして、とても新鮮な感じがしました。春の七草には、都会では雑草として扱われてしまう草が含まれています。草を摘んで食べて生かすことは、本来は生活に欠かせないことだったのだと気づかせていただきました。たくさんの気づきのあるお話をありがとうございました。

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