北麓草水

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みんなの習慣

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NUUさん

vol.104 NUUさん

歌手<br>詩を書き、曲を産み、うたう人

1998年にR&Bボーカルとしてメジャーデビューをして、CMソング、全国ツアーなど精力的に活躍された後、インディーズレーベルからアルバムを1枚をリリース、その後自主レーベル「にじいと」を立ち上げられました。結婚、出産とライフステージの変化を経ながら、暮らしの中から生み出される作品を発表し続け、コンサート会場だけでなく、ギャラリー、保育園など全国の様々な暮らしの場所に歌を届けていらっしゃいます。全国にファンを持つNUUさんに、歌うことや日々の習慣についてお話を伺いました。

日々暮らす中で習慣にしていること、大切にしていることはありますか?

NUUさん
暮らしの中に歌うことがあります。日常の会話にメロディーをつけて歌にして伝えることがあります。例えばこんな風に、“北麓草水、きれいな水が流れる麓に〜”(インタビュー中に、即興で北麓草水というブランド名にメロディーをつけて歌ってくださいました)
北麓草水
すごいですね。歌にしていただけるなんてとても嬉しいです。なんでも歌にされてしまうのですね。
NUUさん
子育てをしていて分かったのですが、子どもに言葉でこちらの気持ちを伝える時に、歌にすると上手く伝わることがあるのです。昔から誰もが口にしたことのある、“いたいの、いたいの、とんでいけ〜”もその一つだと思います。
北麓草水
NUUさんの暮らしの中でのエピソードがあれば、お話いただけますか?
NUUさん
娘が小さかった頃、食事中にコップを倒して水をこぼしてしまったことがありました。その様子を見て、「ほら、こぼさないでねって言ったでしょ!」と強い口調が出そうになったのですが、とっさに、“こぼさないでね〜、気をつけてね〜”と節をつけて声に出してみたのです。すると、自分でも叱られるかな、と身構えていた子どもの表情が変わって、“ごめんなさいね~、おこらないでね〜”と歌って返してくれたのです。そうすると、水をこぼされてまた後始末が大変だ、という暗い気持ちから一転して楽しい気持ちになって、“さあ、一緒に拭きましょうか~、きれいにしましょうね〜”と二人で歌って盛り上がり、とても楽しい時間になりました。
北麓草水
それは素敵なお話ですね。歌うことで、その場の空気を一瞬で変えてしまうのですね。普段の言葉のやり取りも、声のトーンやリズムで伝わり方や印象が全く違いますね。NUUさんにとって歌うことが暮らしの一部であり、生きることと繋がっていらっしゃることがわかるお話でした。歌手になられるきっかけや、歌との出会いについてお話を聞かせていただけますか?
NUUさん
父が黒人文学を研究していたこともあり、家ではいつも音楽が流れていました。また親戚が集まると、誰かが楽器を弾いて誰かが歌い始めるというようなことがあり、音楽と歌うことが暮らしの中にありました。私はなぜか子どもの頃から人に助けられ、支えられて生きてきたという感覚があり、それを何かの形で返していきたいと思っていました。そして福祉を学べる大学に進みました。ところが思うように学べず、進路について悩んだ時期がありました。そんな時に、父が好きだった黒人音楽のレコードを整理し、アレサ・フランクリンのレコードをかけて声を聴いた時に、まるで黒いレコードから大きな腕が伸びてきて、グッと胸を掴まれて引っ張られるような衝撃を受けたのです。音楽は時代、文化、人種を超えてこんなに人の心を揺さぶることができるのか、と感動した瞬間でした。福祉の仕事で直接的に人を支えることでなくても、歌うことで誰かの力になることが出来るかもしれない、と歌うことを意識するようになったのがきっかけです。
北麓草水
幼い頃から人に支えられて生きていると感じていらしたということですが、その感覚の源はどんなところからなのか、思い当たることがあれば教えていただけますか?
NUUさん
そうですね。いつの頃からか自然にそう感じていたのです。思い当たることとしては、キリスト教系の学校に通っていたので、牧師先生からは、こうして私たちが不自由なく生きて、学べることは、たくさんの人の支えがあってのことなのですよ。というお話を聞いて育ったことがあるかもしれません。
北麓草水
自分に見えている世界だけでなく、想像力を働かせて、目に見えないところも意識して感謝の気持ちを持つことは、幸せを感じて生きる上で大切なことだと思います。
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その他に大切にしていること、習慣にしていることは何かありますか?

NUUさん
子どもたちに毎朝お弁当をつくって、その写真をInstagramにアップするようにしています。
北麓草水
毎日とても美味しそうで、楽しく拝見しています。NUUさんの歌には、『台所オーケストラ』『素晴らしい日常』など食べることについて歌われている曲がありますね。NUUさんにとって、朝お弁当をつくる時間はどのような時間なのか、お話いただけますでしょうか。
NUUさん
朝起きて台所に立ち、お弁当をつくり始めるときは、今日も私は生きていて、子どもたちも元気だ。手、指、体も動く、台所がある、食べるものがある、火が付くコンロがある、水がある、なんて幸せだろうと感じる時間です。
北麓草水
毎朝のお弁当づくりが感謝の気持ちから始まるのですね。おっしゃる通り全てが整っているからできることで、それはとてもありがたいことなのですね。食事をつくる時にそのように感謝の気持ちを持ってつくっていなかったので、今のお話を伺って目が覚めるような気持ちになりました。
          
NUUさん
毎日の家事や暮らしの中には、ため息が出ることもあれば上手くいかないこともあって、楽しいことばかりではないけれど、そんなことも全部含めて生きているからこそ、今日という日があると思うとありがたいですね。私はもともと習慣をつくり毎日同じことを繰り返しすることが苦手で、できれば毎日違うことをして、知らない所に行って新しい人と出会うことが好きなタイプです。家族を持つとそうも言っていられないので、日々同じことを積み重ねていく、習慣にすることに挑戦をしているところです。お弁当をつくることもその一つです。それから、家の中でどこか一箇所でもきれいにしておこうと、毎朝トイレ掃除をするようにしています。夜は寝る前に化粧水を肌にたっぷり染み込ませて、パックをしてから眠るようにしています。自分を労る時間です。子どもたちは日々成長しているので、私も今まで苦手だなと思っていたことにチャレンジして、新しいことに挑戦して成長していけたらいいなと思っています。
北麓草水
これからのNUUさんの音楽活動についてお話を伺えますか?
NUUさん
映画『弁当の日』の挿入歌『おてつだい トントトン♪』を担当(作詞・作曲・歌)しました。子どもたちが自分のお弁当を自分でつくる、食育活動を題材にしたドキュメンタリー作品です。これからもコンサートを開いて直接歌を届けたいです。また配信ライブにも挑戦して直接会えない方にも歌を届けたいです。体があっての歌なので、歳や年月を重ねながら今の自分に出会って、ずっと歌い続けて行きたいと思います。歌い継がれて、みんなの中にずっと生き続けるような歌をつくって歌っていきたいと思っています。

聴く人の心にまっすぐ届く力強く澄んだ歌声。光も影も含めて生きること全てを肯定し、励ましてくれるような歌詞と、曲に合わせて体を動かしたくなるような親しみやすいメロディー。NUUさんのつくられる歌は、NUUさんのお人柄や生き方そのものなのだなとお話を伺って感じました。なんでもないような日々の暮らしが、本当は奇跡のように尊いものだと教えていただきました。ありがとうございました。(2021年7月20日公開)

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